俗に言う「ちくのう」のことをいいます。
鼻腔の周りには副鼻腔という空洞があります。風邪などによる細菌感染やアレルギーなどによって鼻腔に炎症が起きます。鼻腔と副鼻腔はつながっているため、副鼻腔内にも炎症が及んだ状態を副鼻腔炎といいます。このように急性に起こった副鼻腔炎を急性副鼻腔炎といい、鼻腔や副鼻腔内に膿が溜まった状態となります。どろっとした濃い鼻水が出たり、鼻水が喉の方へまわる後鼻漏という症状や、副鼻腔内にたまった膿によって頭痛や頬の圧痛を認めることがあります。
抗生剤の内服や外来で鼻処置(鼻腔の粘膜の腫れを抑え、粘稠な鼻水を吸引する)や鼻吸入(霧状になった抗生剤やステロイド薬を鼻から吸い込みます)にて治療を行います。(新型コロナウイルス感染拡大につき、現在、吸入処置は中止しております。)
副鼻腔粘膜の炎症が長引くと、本来なら副鼻腔内の膿を排泄する能力を持つ副鼻腔の粘膜の働きが悪くなり、粘膜が腫れたりポリープ状となり、鼻腔との交通を塞いでしまいます。その結果さらに炎症が悪化するという悪循環におちいり、これが慢性副鼻腔炎の状態です。
抗生剤や粘膜の腫れを抑えるアレルギー薬の内服、点鼻薬などを約3ヶ月行います。またその間、外来にて鼻処置や鼻吸入などにて治療を行います。
治療前後の経過は鼻腔内視鏡検査やCT検査などを行って確認します。また、保存的治療で改善がない場合は、手術の適応となりますので、ご相談の上手術治療が可能な施設をご紹介いたします。
空気中に浮遊する花粉や埃や塵などのハウスダストを吸い込み、それが鼻の粘膜に付着することで起こるアレルギー反応です。
くしゃみ、水っぽい鼻水、鼻詰まりが主な症状です。とくに学童期のお子さんの場合、アレルギー性鼻炎による鼻水、鼻詰まりによって集中力が下がったり、睡眠不足などを起こす原因となることもあるのできちんと治療をすることが大切です。
血液検査で、原因物質(アレルゲン)に対して反応するIgE量を調べることで、原因物質に対するアレルギー体質かどうかが分かります。
アレルギー性鼻炎といっても鼻汁やくしゃみが主な症状の方、鼻閉が強い方、また鼻汁もくしゃみも鼻閉も全てひどい方など症状の出方は様々です。それぞれの症状に応じて選択するアレルギーの薬も変わってきます。また、患者様ごとに効果や眠気などの副作用の出方が異なることがよくあります。アレルギー性鼻炎はなかなか自然治癒する病気ではありません。ですので、ご自分に合ったアレルギー薬を見つけ、薬を飲み始める時期や期間などを調整することでつらいアレルギーの時期やアレルギー症状を乗り越えていけるよう気軽にご相談ください。
また、アレルギーの種類(スギ、ダニ)によっては舌下免疫療法を行うことも可能です。
当院では特に鼻閉の強いアレルギー性鼻炎の方に対して、アレルギーの反応の場所となる下甲介粘膜をトリクロール酢酸という薬液を塗ることで粘膜を変性させる治療も行っておりますのでご相談ください。(ただし花粉症飛散期前の12月までの治療となります。)
匂いがわかりにくくなる原因として大きく2つあります。
①慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などによる鼻詰まりに伴う嗅覚障害
この場合の嗅覚障害は徐々に現れることが多いです。
②感冒後嗅覚障害
風邪やウィルス感染をきっかけに、突然匂いを感じるのが弱くなったり、全く匂いを感じなくなってしまうことがあります。
コロナウィルスに伴う嗅覚障害はこれにあたります。
鼻腔ファイバー検査
鼻の中を細いカメラを使って検査します。嗅覚障害を起こす原因となるポリープや鼻中隔湾曲がないかなど調べます。
静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)
ニンニク臭のあるアリナミン(ビタミンB1)を注射し、匂いを感じ始めるまでの時間と匂いを感じなくなるまでの時間を計測し、嗅覚が正常であるかを診断します。
原因によって異なりますが、鼻詰まりにともなう嗅覚障害の場合は抗生剤やアレルギー薬、ステロイド点鼻薬などを用いて治療を行います。
また感冒後嗅覚障害に対してはステロイドの内服や点鼻を行います。嗅覚障害は発症から時間が経つと改善しにくい場合があるため、早めに耳鼻科を受診するようにしましょう。
鼻血が最も出やすい場所は左右の鼻を仕切るしきり(鼻中隔)の前方の粘膜からです。この部分には毛細血管とよばれる細かい血管がたくさん通っており、傷がつきやすい場所でもあるため、鼻を強く擦ったり、鼻をほじったりすると鼻血が起きやすくなります。とくにお子さんで鼻血を繰り返す場合はこの部分から出ていることが多いです。
では、家で鼻血が出た時にはどうしたらいいでしょうか?
鼻血が出てしまった時にできる応急処置としては、まずは落ち着いて椅子に座り、少しうつむき加減になります。そして両方の小鼻のふくらんだ部分を親指と人差し指でつまみ5~10分くらいそのまま圧迫するようにします。この際にティッシュペーパーや綿花などを鼻の中に入れて圧迫すると、それを抜く際に止まっていた鼻血が再び出てしまうことがあるので何も入れない状態で行いましょう。
また、口の方に回ってきた出血は吐き出して、飲み込まないようにしましょう。
外来で出血の原因となっている血管の弱い部分を電気で凝固して止血します。また、アレルギーの薬を用いて鼻を擦らないようにするのもよい方法です。
鼻腔の後ろの方から血がでている場合は鼻の中をパッキングするように軟膏のついた細いガーゼを詰めて経過を見る場合もあります。